「ゲーム依存」~やめさせるための2つの側面とは?~
前回のPART1では、今話題のeスポーツの紹介とゲーム依存の現状に関して考えました。
※PART1をご覧でない方は下記の記事を先にご確認ください。
このPART2では、私たちが効果を挙げてきた方法と共に、ゲーム依存への「物理的な対策方法」を考えましょう。
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前回もお伝えした通り、ネット/スマホ依存の大部分は「ゲーム依存」か「SNS依存」に分かれます。
注意しても、なかなかゲームをやめない子どもに対して、親が一番取りたくなる行動は何でしょうか?
それは、ゲームを取り上げたり、壊したり、回線を使用させなくする強制的な方法です。
先日、私が温泉施設に行った時の話です。
小学生の子どもがゲーム機に集中しながら歩いていました。横にいたお母さんが、「いつまでやってるの!」と2回ほど注意していましたが、全く聞き耳を持たなかったところ、遂にそのお母さんは、「いいかげんにしなさい!」とゲーム機を取り上げ、床に叩きつけました。
私を含めて周囲は唖然としましたが、子どもも反抗して騒ぎながら、壊れた部品を拾っていました。そのくらい、親としては我慢ならない状況だったかと思います。その気持ちはわかります。
ただ、この「強制的」な対応は、すでに依存している子どもにとっては、「最悪」の対応方法と言わざるを得ません。
もちろん、この方法で止める子どもはゼロではないかもしれませんが、ほとんどの場合、良い結果へはつながりません。
なぜなら、特に中高生になり、自立心が成長する過程にある子どもたちは、この「強制される」という概念を一番嫌うからです。当然ながら、反発する、隠れてやる、のどちらかの行動をとるでしょう。
では、どうしたらよいでしょうか?
絶対的な解決策はありませんが、これまでの私たちや関係する仲間たちの実績から、2つの側面に分けて、ゲーム依存に対応しておくことが有効です。
ゲーム依存の2つの対策分野:
1.「物理的なルールとメタルールを話し合って作っておく」
ルール作りに関して誤解している親が多いようです。
「決めても守れないから作っても意味がない」という言い訳をよく聞きます。
言いたいことは分かりますが、すでに、このような親子関係、そして家庭環境にあることを放置しておくと、依存問題以外の様々な問題をも生み出してしまう可能性が高まります。
子どもは自立心が芽生えていますが、人生経験はとても少ない訳です。
それで、「知恵」を身に着けさせることによって、賢く人生を送っていく事ができます。
ですから、依存したり、大きなトラブルに遭遇して学ぶ、というような「経験が最良の策」ではないこともあるのです。
このように考えると、やはり、「子どもも納得のいくルール作り」で知恵を教えていく事は不可欠です。
そもそも、法治国家で生活している以上、これからの子どもの人生で、ルールに縛られない環境などは存在しない訳です。
それで、「なぜ、ルールを守ると自分のメリットになるか?」を成長と理解力に応じて教えていく事が子どもの今後の人生にも大きく役立ちます。
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①具体的なルールとは?:
ルール作りのポイントは下記の2点です。
・「具体的な内容のルール」とし、「なぜ益になるか?」を説明する。
・ルールが守れなかった場合の「メタルール」を子どもに作らせる(ルールの2重化)
では、「具体的」とはどんなことでしょうか?
×→「ゲームはあまりやってはだめよ。夜遅くまでもダメ」
〇→「平日は1時間まで、休日は2時間まで、夜は10時までならOK」
このような数値で伝えることが「具体的」です。そして、なぜ、10時までなのかなどの理由を説明します。
「なぜ、10時までがあなたの益になると思う?11時や12時ではだめ?」
成功している親は、子どもにこのような「逆質問」をして考えさせています。
この親子の場合は、就寝を11時半と決めています。それは、起床時間から考えた場合の、脳に必要な休息時間や翌日の授業中の眠気を実際に比較させて決めたとのことでした。
そして、その1時間前までにスマホを終わらせることは、ブルーライトが目を通して、脳に与える影響なども説明し、就寝時間直前までのスマホが「習慣化した場合のデメリットを想像」させました。
このような運びで、「11時や12時ではだめ?」と聞くと、「ダメに決まってるじゃん!」と子どもから言うようになってきたとのことでした。
上記のように、私たちの提案を受け入れて、着実に実施してきたお母さんは、シングルマザーの方でした。
大変な中でも、働きながら、子どもをゲーム依存から脱出させて、今は、子どもは、成績も性格も良好に学校生活を楽しんでいるとの事です。
もちろん、大好きなゲームも「適度に」楽しめるように自制ができているとのことでした。親としての、素晴らしい努力です。
しかし、この親子もそうでしたが、ルールが曖昧だった家庭においては、急にルールを作ると、子どもからの大きな反発や混乱、懇願、時には暴力などもあるかもしれません。
それでも、上記のようにまずは上手に「メリット」を説明しましょう。
それでも、抵抗する場合でも、メタルールに関しては、絶対に譲ってはいけません。ぶれることなく懲罰を与え、逆に守れた場合には、努力を誉める、という姿勢を崩さないようにします。
②宿題や手伝いなどを先に済まさせることを徹底させる:
ゲームは必ずしも、子どもに不可欠なものではありません。親は、ルールを守れないのであれば、親から貸与しているゲーム機やスマホを禁止する必要があることを忘れるべきではありません。
それに対して、宿題(勉強)はどうでしょうか?
これは、子どもにとって「不可欠なもの」です。この認識を親も子どもも、再度、認識する必要があるのではないでしょうか?
そう考えると、ゲームやネットは、その日の子どもの「お勤め」(宿題や手伝い)を完了させたことに対する「給与」(褒美)のような認識を培わせておくなら、後々の人生でも「良い仕事ができる大人」に成長しやすいですね。
この順番を忘れないように子どもを教えましょう。
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③具体的なゲーム内容を知って、親子で話し合う:
時間になったらゲームを中断しやすい環境を作ることも重要です。ほとんどのゲームは、そもそも途中でやめにくいように作られています。
それで、まずは親が、子どもが気に入っているゲームの内容と面白い点を、「ルールを作る前に」子どもに説明させます。
その時に、親は、「くだらない」と言ったり、そう感じているような表情をしない事が重要です。
むしろ、「これは面白いね。たしかにお母さんでも制限しないとハマってしまうわ‥」くらいの方が、子どもと共通の土台を築くことができます。
この過程を踏んでから、次のような提案をします。
・あまり興奮するゲームや攻略に時間がかかりすぎるゲームは、平日にしない。
・時間が無い時に、レベルクリアをしようとしないで、週末の楽しみとして集中してクリアできるように「とっておく」。
・ほとんどのゲームは、1回のゲームタイムでクリアするようには作られていない事、何回にも分けてクリアすることが、「上達する秘訣」、賢いゲーム方法である事を気づかせる。
いかがでしょうか?
このような具体的かつ、「ゲームの実態と子どもから見た魅力を理解」してくれている、と、子どもが感じると、子どもはルールにも、とても応じやすくなります。ルールを守れるようになっていったら、小出しにご褒美をあげます。
もちろん、ゲーム時間を増やす、というご褒美はあり得ません。
④既にゲーム依存の場合は、上記と共に、ゲーム時間を少しずつ減らさせる:
先月訪問した高校の男子生徒は、「休みの日には15時間ゲームしてる」と言っていました。半日以上の使用時間に唖然としますが、そのような状況であってもあきらめなくて大丈夫です。
実際にそのような、重度のゲーム依存から脱却した子どもも存在しているからです。
このような場合、まずできることは、「少しずつ」時間を減らすメリットを説明していく事です。
15時間なら、12、10、8、6時間くらいまで、ゆっくりと減らしていきます。急に禁止したりすると「禁断症状」がでるので、あくまでも少しずつです。
同時に「ゲームをしたい気持ちは尊重しながらも、譲れない点を明確に共有しておく」事が重要です。
「こんなにハマるゲームをたくさん楽しませてあげたいわ。でも、そうしているから成績が明らかに下がっているよね。 学生である以上、勉強に遊びが影響することは許されないのは分かるよね? だから、少しずつ、慣れさせながら、ゲーム時間を減らして、短時間でレベルクリアできるようにしていこうよ。まずは、少しずつだから、15時間を12時間に減らすだけでいいよ」
こんな感じです。実際、この子の場合も、このような形で私たちとお母さんが接するようして、今、少しず減らす事が出来始めているとのことです。
このように、今回は、ゲーム依存に関して「物理的にできる対策」を考えてきました。
上記の対策は、私たちが対応して効果があった実績をもとに記載しましたので、ぜひ、我が子の状況をまずはよく考えて、内容を適用しながら実践してみてくださいね。
次回は、PART3の、ゲーム依存対策の「環境面での対策と考え方」、そして、「eスポーツを利用してゲーム依存を解消した事例」をお伝えします。
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