保護者に必要な「ヒューマンリテラシー」とは?

「ヒューマンリテラシー」とは何か?

最近、学校の情報の授業にも含まれている「情報モラル」「情報リテラシー」という言葉と共に、よく聞くようになったのが、この「ヒューマンリテラシー」という言葉です。

私たち団体の活動コンセプトも、「ヒューマンリテラシーをベースとした情報モラル教育を普及させる」となっています。

では、この「ヒューマンリテラシー」とはどんな意味なのでしょうか?

また、なぜ、保護者や教員にとって、意識して身に付けるべきスキルなのでしょうか?

今回は、この点に関して基礎的な事を共に考えていきましょう。

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ヒューマンリテラシーの定義や考え方については様々な見方があります。また、そのような考え方は、時代に合わせて変化していく事もあります。

現状で、ヒューマンリテラシーとは、「人間同士が信頼でき、生きやすい世界を作るために不可欠な人間特性的能力、活用できる人格特性」と定義される事が多いです。

漠然とした解釈かもしれませんが、私たち団体では、「お互いに信頼し、協力して、様々なジョブを成し遂げていくために必要な人格特性力及び思考力」と考えています。

一言で言うと、「総合的人間力」と表現できるかもしれません。

当然ですが、私たちは、いつの時代でも、どんな状況になっても、人間社会がある限りは、一人だけで生きていく事はできません。

間接的であったとしても、人との繋がりや交渉をしながら生きていきます。

ですから、特異な専門性や知識、経験以上に、まず、最低条件として必要なのが、このヒューマンリテラシーです。

ヒューマンリテラシーのメリットは?

例えば、皆さんの職場や友人関係で下記の人がいた場合、どちらを信頼し、近づきたいと思われるでしょうか?

①とても仕事ができたり、何か優れた能力や外見を持っているが、人間性にあまり魅力がない人。

②能力や専門性は普通だが、人間性が良い人。

私たちが実施している「ヒューマンリテラシー教育講座」では、多くの方が、②を選択します。

比較的、人は①を目指そうとしますが、長い目で見て、周りから信頼が得られるのは、「ヒューマンリテラシー」を向上させている②の方、という事になります。

確かに、「総合的な人間力」がある方は、年齢性別問わずに、周りからも自然に支えられます。

人生に様々な試練があっても、適切な考え方の基に対応していけるので、結果的に、人間力が不足している方より、幸福な人生を送っていけます。

そして、「能力や専門性」と「人間力」はトレーニング次第で両立する事は可能なのです。

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さらに、どんな交渉事であっても、この総合的な人間力が相手に伝わると、「NO!がYES!」に変わる事がよくあるのです。

このように考えてきますと、人間は誰であっても、意識してヒューマンリテラシーを向上させるなら、お互いにとって、どちらにもメリットがある交渉結果へと、交渉を詰めていく事ができるようになります。

この総合的な「ヒューマンリテラシー」が役立つのは、ビジネス間だけではありません。知人、友人、親族、家族、夫婦、義理の親、兄弟、そして子供に対しても役立ちます。

「子どもに対しても必要なの?」とお感じになる方もあるようですが、親子関係こそ、特に親の「人間力」が大きく影響を及ぼします。

「様々なジョブを成し遂げていくために必要な人格特性力及び思考力」は、子ども側からすると、親が一番、身に付けていなければならないスキルと言えます。

先日、カウンセリングを実施した中学生の生徒は、「母親が、自分の気持ちを理解しようとしてくれない、話を聞いてくれても、結論を言い放って終わってしまう‥」と不満を語っていました。

親の立場からしてみれば、言いたい事は沢山ありますが、やはり、子どもを正しく教育するという「ジョブ」を成し遂げようとするなら、理論、結論だけでなく、それにとって近道となる、「人格的特性と深い思考力」を表した対応をとるなら、子どもの反応も少しずつ変化してきます。

なぜなら、親のそのような「受け入れ態勢」に子どもは安心感と信頼を示すようになってくるからです。

上記の様々な事情から、特に保護者が意識して「ヒューマンリテラシー」を身に付ける事は、とても役立つ重要な事だと理解できるのではないでしょうか?

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ヒューマンリテラシーの2つの要素:

では、このヒューマンリテラシーには具体的にどのような要素が含まれますか?

私たちが活動する中で、特に重要なのは、次の2つの要素だと考えています。

①「コミュニケーション力」

自分と相手との間で「情報、意思、感情」を、「相手に理解しやすいように」伝えあい、理解し合う事。

②「シンキング力」

論理的、批評的思考をベースに、相手の表情や言動から、相手の意向や希望を敏感に想像し、分かりやすく説明、意思伝達できる考え方。

様々な考え方がありますが、私たちが啓蒙活動を展開する中で、良い関係でいられる親子や、先生と生徒間にはこの2つの要素が少なからずあります。

そして、そのような関係で育つ子どもは、ネット依存やトラブルに悩むことなく、充実した学生生活や家庭生活を送っているようです。

そのようなお母さんたちに話をお聞きすると、多くの方が、「感情的になるような時にも、コミュニケーションや子どもの考え方を理解する事、正しい考え方を子どもが理解しやすい形で伝える事を意識している」と答えられます。素晴らしい事ですね!

それで、私たち大人は、確かに何も考えず、意識せずに、子どもを叱ったり、注意したりするのではなく、「自分は我が子に、人間力がある親だと見られているだろうか?」と客観的に自問する事が、まずは大切です。

確かに、私たち親は、多忙で、感情的にも煩わされる事が多いですね。

でも、そうであっても、子どもに響く形で教えていくために、少し、この見方を持つのはいかがでしょうか?

では、次回以降、具体的なこの2つの特質である、親が身に付ける「コミュニケーション力」と「シンキング力」に関して、また考えていきましょう。

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教師と親が「ネットいじめ」を発見対応する方法

「ネットいじめ」のサイン:

ネットによる「いじめ」は深刻な状況が続いています。私たちが活動する中学校、高等学校でも、これが原因での不登校や成績低下、そして相談は急増しています。

先生方や、その子どもたちからの話を聞くと、ひとつの特徴が見えてきます

。それは、「自分がネットいじめを受けている事を認めたくない、親に知られたくない」という事以外に、「どのように相談して良いか分からない」という点です。

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子どもたちの立場で考えると、これは当然と言えるかもしれません。

しかし、最後の「どのように相談して良いか分からない‥」という言葉は、親である私たちや教員の皆さんにも、判断基準や思考が発達途上にある子どもの「心の叫び」として訴えるのではないでしょうか?

それで、私たち大人の側としても、子どもが発する「見えないメッセージ」に敏感である必要があります。

「見えないメッセージ」は言葉ではなく、「行動、表情、振る舞い、装い」などに表れてきます。

どんな兆候があるでしょうか?

沢山ありますが、私たちのこれまでの支援経験から得た情報を元に、代表例を下記に記します。

「ネットいじめを疑うサイン」(学校/家庭)

学校:

①休み時間に一人でいる事が多い。一人で廊下をフラフラと歩いている。

②お昼ご飯を一人で食べている事が多い。

③頻繁に保健室に行くようになった。

④成績が急に下がる。

⑤授業開始寸前か少し遅れて教室に入ってくる。

⑥コミュニケーションが取りにくくなった。(例:目を合わせない、声が小さい、おどおどしている、会話がなりたたない、覇気が無い)

⑦机や椅子、持ち物が雑然としている。

⑧書く文字が小さく、筆圧も弱くなった。

⑨教科書やノートが破られていたり、服や髪の毛が汚れている、切られている。

⑩望んでいないような「あだ名」で呼ばれている。

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家庭:

①遅刻、早退、休みが多くなる。(腹痛、微熱、倦怠感などの理由を訴える)

②朝、起きれなくなった。

③朝、トイレにこもる時間が長くなった。

④友達が遊びに来ない、または、今までと違うタイプの友だちが来るようになった。

⑤スマホの着信やLINE通知を親の前では見なくなる。

⑥お金の使い方が変わった。

⑦ぼんやりとして、いつも考え事をしている。

⑧食欲不振、睡眠不足が表れる。

⑨兄弟(特に年下)をいじめるようになった。

⑩笑う機会が少なくなった。

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いかがでしょうか?

該当する箇所が複数ありましたか?

勿論、上記の兆候が必ずいじめに該当する訳ではなく、その他の兆候も沢山あります。

しかし、重要なのは、このような「複数の変化が短期間で急に生じてきた」という事です。「何か」があったからこそ、そのような急な変化が起きたわけです。

親や教師がそこに「気づく敏感さ」をどれだけ意識しているかがポイントとなります。

実際、子どもたちの中には、「言葉に出来ずに行動でアピールしていたが、お母さんや先生は全然分かってくれなかった‥」と言ってきた子もいました。

それで、私たち親や教員の皆さんは、既に実施されていると思いますが、次の「姿勢」を徹底していきましょう。

「子どもが相談しやすい親、教師であるための姿勢」とは?

①信頼関係を作っておくことに敏感であるようにする:

親だから、担任の教師だから、自動的に子どもに信頼されるわけではありません。

誰でもそうですが、特に子どもは、いつも「味方」になってくれる大人か?と考える傾向が強いです。

そのためには、やはり、「子どもの身になって感じる、考える」事が不可欠です。

例えば、いじめの証拠や訴えがあっても、「気にする必要はない」「無視していればいずれやめるだろう」「もっと強くなりなさい」などの言葉を発したら、子どもの信頼はすぐに無くなります。

このような時、子どもとして、まずかけて欲しい言葉は何でしょうか?

「辛かったね」という共感でまずは受け止める言葉を掛けるなら、子どもの反応は全く異なってくる事が多いです。

そのような形で、まずは、信頼関係の共通ベースを構築していきましょう。

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②問題のポイントと背景事情を把握する:

子どもの話を聞く時には、言葉そのものだけでなく、「非言語データ」を読み取らなければなりません。

この場合の「非言語データ」とは、言葉使い、言い方、表情、仕草、体の動き、目の表情、声色など、言葉そのものの「言語データ」以外に読みとれるその子の「訴え」です。

特に、話しづらい内容の際には、言葉以上に「非言語データ」に注目する必要があります。

そうする事で、思いがまとまらずに表現できない事や、本人すら気づいていないような事実を引き出していく事ができます。

この「非言語データ」を把握した上で、適切な質問(尋問ではない)を用いて、核心に触れていきます。

「そのような不快な事を、急にされるようになったきっかけはどんな事だったか、覚えている事はある?」などの質問ができるかもしれません。

この時、「いじめられている」という直接的な言葉や表現を使用しない方が、子どもは話しやすくなります。

そのような点も意識しながら、いじめの要因、きっかけと思われる事、どこを、どのように対処する事が解決、または緩和に繋がりそうかを論理的に把握するようにします。

③適切な対応をする:

上記で把握した情報と共に、子どもの性格傾向を含めて考慮し、適切な対応をします。

過去にも同様のケースがあった、親や先生に任せればよい、などではなく、その子のその時のケースと反応に合わせた形での対応が「適切」と言えます。

このような点を改めて意識し、「子どもが相談しやすい親や教師」であるなら、最大限、ネットいじめに効果的な対応をしていく事ができます。

次回以降で、具体的な相談の受け方の注意点などを考えていきましょう。

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LINEいじめの実態と親ができる対策

若者の自殺者が一番多いのは、9月1日前後!

2015年に内閣府が発表した「自殺対策白書」によれば、過去40年間の18歳以下の累計日別自殺者数は、9月1日(131人/年間1位)、9月2日(94人/年間4位)、8月31日(92人/年間5位)と夏休み明け前後に集中している結果となりました。

あくまでも統計平均に過ぎませんが、間もなくその日付が近づくので、少し懸念される保護者の方も居られるではないでしょうか?

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当然ながらこの前後の日付は長い休みが終わり、いじめを受けている子どもにとっては、精神的プレッシャーがとても高まる時です。

特に、LINEなどのSNSに依存する子どもたちにとって、夏休み中も「解放される事のない」いじめを受けているケースもあり、いよいよ、顔を会わせる9/1前後に、ストレスが極限に達し、命を絶ってしまう事もあるようです。

このような結果になると、親としては、本当に胸が張り裂けそうな心痛となりますね。どのように対応できるでしょうか?理解を深めましょう。

LINEいじめの特徴は?

いじめは昔からありました。しかし、私たちが学生だった頃とは違い、SNSを使用したいじめは、「1対1や1対2,3人」でもなく、多くの場合、「1対集団」となります。

この点がメールなどのいじめとも異なる点です。SNSは、グループでの会話に便利ですが、いじめにも「好都合」なのです。

私たちがサポートする中学校でも、生徒たちは、「長期休みであっても、グループトークからは解放されない」と言っていました。

さらに、繋がる時間と友だちが多い程、やがて、誰かをいじめる方向に動いていく傾向がある、とも語っていました。

これでは、気が休まらないどころか、精神的にも追い詰められる子どもがいるのも理解できます。深刻な問題です。

いじめの対象になる要因

このような関係性のなかで、LINEいじめはどのように始まっていくのでしょうか?

少なくても、下記の要素が関係しています。

「グループに入れてあげた」と感じられている状況:

このような子どもが、少しでも、空気が読めないような返事や書き込みをすると、「お情けでいれてやったのが分からないのか!」となり、急激にいじめの対象になることがあります。

「既読」「未読」に無頓着:

いまだに「3分返信ルール」が常識になっている子どもたちのグループもあるようです。既読でも未読でも、少し返信が遅いだけで「いつも遅い奴」という理由付けをされ、散々いじめられた後にグループを外された生徒もいます。

「文字やスタンプの誤用」

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本来、SNSの「顔が見えない交友」は、コミュニケーション力が未熟な子どもたちには、とても高度な交友となります。

しかし、それを理解せずに使用しているため、相手の反応や感情を予測できない表現、文字、スタンプを利用してしまい、知らない間に怒らせてしまっている、というケースが多いです。

「閉鎖的な世界観」

まだ未熟な子どもたちのグループ内では、大人や一般的な常識ではなく、メインとなる子たちの機嫌や好みが「正論」となります。

それで、その「正論」に意図せずに反したメッセージを一言でも投稿すると、激発的な怒りにさらされます。

同時に、他のグループメンバーも「力関係」などを考えて、嫌われたメンバーへのいじめにすぐに加わっていく傾向が強いです。これが、「1対多数」の怖いところです。

LINEいじめから子どもを守る3つの注意点

私たちが、保護者向けの情報モラル教育講座やカウンセリングで、親に、まず提案する事は下記の3点です。

①LINEの「基本設定」を親が理解して実施させる:

先程も述べた通り、SNSグループでは、メンバーが多ければその分、トラブルも多くなります。

それで、最低でも、アドレス帳に登録している人を自動的に友だちに追加したり、自分のIDがほかのユーザーから検索される設定などをOFFにし、本当に仲の良い、信頼できる子だけで利用させる事が大切です。

※詳細は、「LINEの安全な使用設定方法」の記事をご覧ください。

保護者のための「LINEの安全な設定使用方法」(会話事例)

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②コミュニケーションと予想力を向上させる:

「空気が読めないメッセージ」を投げてしまう子どもは、ほとんどの場合、この力が欠けています。

つまり、自分がどのような位置づけで、どこまで発言するのが適切なのかなど、自分を客観的に見る視点を学ぶ必要があります。

ある親たちは、「子どもの内からそんなことに神経質にならせるのは良くない!」と考える事もあるようです。

しかし、「全く鈍感」か「とても神経質」かの二択ではなく、何事にもその中央の「平衡のとれた」考え方、発言の仕方などがあるのではないでしょうか?

これが、大人になってからも人間関係に大きく悩まないために必要なバランス力です。

それで、「周囲をイラっとさせるのは具体的にどんな発言か?」「ここで自分がこの一言を言うと、どんな反応が予想されるか?」などを、他の子がLINE発言している間に素早く考えさせるトレーニングで訓練している母親も居られました。

予想力を身に付けるにはとても有効な教え方です。

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③「同じ価値基準を持った子を友だちに選ぶ賢さを教える」

この提案を生徒向け講座で扱うと、「そんなこと考えた事も無かった」という生徒たちが多数現れます。

でも、その意識をベースに、友だち同士で情報モラルの価値基準(夜12時以降は連絡しない、誤解が少しでもあったら、その場でLINE電話に切り替えて直接話す、など)を作り、LINEグループ内で、共通の基準を持ち、全員が「同じ立場」で楽しく交友できている、との経過報告も頂きました。

その生徒によると、このグループでは、新規に入りたい子には、その規準に同意できるかを明確に確認し、「審査」している、との事でした。

この生徒は中学2年生でしたが、その年齢でも、ここまでの「賢い」使い方を友だち同士で実施できるのです。

いかがだったでしょうか?

夏休みが終わろうとしている今、お子さんは大きなストレスを感じているかもしれません。

親として、まずは子どもの様々な状況に関心と注意を払うと同時に、少なくても上記3点をよく理解し、少しずつ子どもに教えていくようにしましょう。

LINEいじめは完全に無くすことは不可能だとしても、適切な教え方により、SNSを楽しみながらも、いじめから離れておく事は可能です。

次回以降では、いじめの兆候を見分けるポイントなどをお伝えします。

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「ネット/スマホ依存」~「コミュニケーション力」への深刻な影響とは?

なぜ、「コミュニケーション力の向上」は大切?

これだけICT化が進んでも、多くの企業が求める能力のトップは、相変わらず「コミュニケーション力」と言われています。

なぜ、長年に渡り、この能力は重要視されるのでしょうか?

それは、どれだけIT化やプログラミング教育が進んでも、私たちが人間である以上、大切な場面では必ず「交渉」が必要となるからです。

皆さんもこれまでの人生の重要なイベントでは、必ず、対象との何らかの「交渉」があったのではないでしょうか?

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多くの場合、重要な交渉事は、「対面か電話」で行われます。

技術的には、AIが代行する時代も近いかと思われます。しかし、交渉事に、一番大切な信頼感は機械では伝わりにくいですね。

やはり、人間的な「誠意や人間性」といった「人間力(ヒューマンリテラシー)」的要素が信頼感には欠かせません。

この「人間的要素」が伝わることで、交渉事の土台が築かれ、最善の結果を双方が得る事ができるのです。

このように考えますと、この先も、「コミュニケーション力」の重要性は高まり続けます。「学生時代から、コミュニケーション力を身に付けた」若者は幸福な人生を歩むことができ、その人の周りの人をも幸福にさせていきます。

あなたの周りにもそのような方がいるのではないでしょうか?

「ネット/スマホ依存」による影響とは?

しかし、それとは逆に、今、大きな問題として注目されているのが、子どもたちの「ネット/スマホ依存によるコミュニケーション力の大幅な低下」です。

特に、「コミュ障」と呼ばれる、コミュニケーションを特に苦手とする子どもたちが急増している事が心配されています。

私たちが支援している中学校、高等学校でも、生徒本人が下記のような悩みを伝えてきました。

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「SNSグループでは何でも伝え合うので、逆に学校では、友達と話す話題も無くなってしまう。直接会うと、ぎこちなくなってしまう友だちが多い。」

・「LINEでは短文を投げ合うので、相手にどう思われるかなど考えている余裕がない。結果的に知らないうちに相手を怒らせてしまうことがよくある。でも、直接話して解決する話し方が分からず困っている‥」

上記は一例に過ぎませんが、やはり、社会に適用していく「コミュニケーション力」が身についていない事は明らかですね。

この問題を、もう少し「深く考える」と?

ここで、私たち親はもう少し「深く」、この状況を考えてみたいと思います。

本来の学校の目的を考えると、子どもの頃からSNSに没頭してしまうことは人間性の成長に大きなマイナスになります。

なぜでしょうか?

それは、社会性を身につける学生の間は特に、「外へ外へ」と自分を広げていく必要があります。

この時期に、どれだけ「自分の考え方や感じ方を広げたか?」が、その後のコミュニケーション力に大きく影響します。対面コミュニケーション力を磨く絶好の機会が学生時代なのです。

しかし、SNSやネットに依存するとどうなるでしょうか?

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視力や体調への影響はよく取り上げられますが、「子どもの社会性」にも大きな影響を与えます。

基本的に、SNSは仲良しグループでやりとりしていきます。

「気があう」友だちだけのグループで、その交友は以前とは違い、帰宅しても事実上24時間続きます。つまり、「気があう」友だちとの交友は異様に深まります

逆に、「気が合わない」、またはグループに入れない子に対しては、無関心となり、いつしか仲間外れ、いじめの対象にもなっていくのが現状です。

これがエスカレートして、引きこもりや自殺にまで追い込まれる事件は皆さんもよくご存じかと思います。

このように、スマホやSNSは適切に使わずに依存させてしまうと、本来、「外へ外へ」と自分を広げる大切な時期に、「内へ内へ」とこもらせ、同時に「自分と合わない子は受け入れない、排除していく」という事が普通である、という感覚や考え方を育ててしまうのです。

こうなってしまった子どもが進学や就職で、社会に適用できなくなり、「自他ともに傷つけてしまう」結果になったケースもあります。

子どものコミュニケーション力向上のための最初の2つのステップ

では、保護者として、どうすれば子どものコミュニケーション力を育てていけますか?

このブログでは、今後の記事で、そのための方法を少しずつ取り上げていきますが、まず、一番重要なのは、下記の2点です。

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「SNSやスマホが子どもに与える影響を真剣に考える」

成績低下やトラブルに巻き込まれる、という上辺の影響だけでなく、上記の様な「心、考え方、感性」にも、どのよう に影響するのかを、親が深く考える必要があります。

「親がコミュニケーションの模範となる」

親自身が、子どもと、夫や親族など、身近な人とのコミュニケーションが上手にとれていれば、それは子どもにとって「普通の人間力」と映ります

そして、魅力を感じると、その親のコミュニケーションの仕方を自然と真似るようになっていきます。

それで、まずは、私たち親は、上記2点を、いつも意識する事からはじめましょう!

「分かってるけど、私がコミュニケーションが苦手で‥」というお母さんたちからの相談も受けます。

でも、親自身がこの面を苦手に感じていても心配いりません。

コミュニケーション力は「学びと実践」により、大幅に向上させられるからです。

今後の記事では、私たちが、企業での社員教育や学校でのヒューマンリテラシー教育で使用している方法を、少しずつお伝えしていきます。

主に、「コミュニケーション力」と「深考力」の習得方法を共に学べます。

我が子の将来に良い影響を与える「人間力(ヒューマンリテラシー)」を、親が身に付ける点で、共に意識していきましょう!

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保護者のための「LINEの安全な設定使用方法」(会話事例)

今さら聞けない!「LINEの安全な設定使用方法」

私達が学校で活動していると、意外と、生徒も保護者も、「LINEのセキュリティ面に関する設定はあまり理解していない」という事が多いです。

「いまさら聞きにくい‥」というお母さんからも相談を受けています。

この面で、親がまず考えなければならない点は何でしょうか?

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それは、判断力やコミュニケーション力がまだ未熟な子どもがSNSを使用する場合、繋がる人が多くなればなるほど、トラブル、犯罪、いじめに巻き込まれやすいという観点です。

リアルな人間関係ですと、「繋がる(物理的に会う)」にはある程度の手間や時間がかかり、相手の特性も見えやすいため、未熟な判断力でも危険を察知しやすいです。

しかし、SNSで「繋がる(ネット上で)」には、手間も時間もかからず、どんどん増えていきます。

当然ながら、リアルで会えば友だちにはならないような人も含まれてしまい、一度繋がってしまうと、ブロックしたり削除する事が難しく感じてしまうようになります。

このような事情を考えると、まず親が備える認識は、「SNSでは、不特定はもちろん、本当に親しくできる友人以外と繋がってしまう可能性をできるだけ減らせる基本設定をしておくメリットを子どもに教える」という事です。

では、既に実施されているかと思いますが、その一例をご紹介します。

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これだけはやっておきたいLINEの安全設定!

母親:「あなたの携帯番号って、以前に使用していた人がだれか知っている?」

子ども「え? 契約した時に新規だったから、僕だけの番号と思っていたけど?」

母親「確かに新規契約だけど、新しい番号というわけではないのよ。以前に使用していた人が番号変更や解約をした事により、あなたに回ってくる事もあるのよ。最近は、番号自体を変更する人は少ないので、あえて番号を変更する人の中には、何らかのトラブルを抱えていた人もいて、そういう『ワケあり番号』があなたに回ってきた可能性もあるのよ」

子ども「えー、そうなんだぁ…」

母親「だから、LINEは特に設定に注意しないとならないのよ」

子ども「え?何の関係があるの?」

母親「LINEは基本的に電話番号で繋がっていく仕組みでしょ?なので、設定を注意して変更していないと、ワケあり番号と自動で繋がったり、検索されてしまうのよ」

子ども「えー!! それは困るわぁ‥ どうしたらいいの?」

母親「お母さんも教えてもらって自分のスマホのLINEアプリの設定を変更したのよ。あなたのもiphoneだから、私のと同じ設定で良いと思うわ」

子ども「うん。じゃ、LINEの設定項目を開けばいいのね?「友だち」項目の左上の「設定」を開けばいいよね?」

母親「そうそう。まずは、①『アドレス帳の自動登録』を制限しないとね。「設定」→「友だち」→「友だち自動追加」「友だちへの追加を許可」をOFFにして」

子ども「うん。ボタンが緑色から白色に変わればいいんだよね?」

母親「そだね。この2つの設定変更により、『知り合いかも?』に知らない人が表示されてしまう事もある程度防げるわ。それから、もう一つ、トラブル対策で重要な設定が、IDによる友だち追加』をOFFにしておくことも大切なの。設定変更方法は、「プライバシー管理」→「IDによる友だち追加を許可」をOFFに変更して」

子ども「でも、IDが使用できないと、新しく知り合った友達とも交換できないじゃん!」

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母親「そういう機会は毎日のようにあるの?」

子ども「いやいや、そんな頻繁にはないよ」

母親「そうよね。なので、賢い友達は、信頼できる友だちとのID交換が必要になった時だけ、さっきの設定を『ON』にして交換、その後、通常通り『OFF』に戻して使っているんだって」

子ども「なるほど!それならそんなに面倒じゃなく使えるね。そういえば、QRコード画像による交換もするけど、これは大丈夫なのかなぁ?」

母親「それも先生に教えてもらったわ。QRコード設定の更新』も実施しておいた方がよさそうね。設定変更は、さっきの「プライバシー管理」→「QRコードを更新」を実施しておくと安全だね。」

子ども「今、やってみるよ。普段、気にも留めない設定だったけど、こんなに簡単にできるんだね。

母親「確かにね。あとは専門家によると、プロフィールに顔写真を掲載しない事とかも、トラブル予防ではとても重要なんだって。その辺りの話はまた次回ね」

子ども「そっかぁ‥ わかった。ありがと!」

※設定方法は、iphoneの場合。(2018年4月時点)

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いかがでしたか?

LINEは利用者の多さから、知らない人からメッセージや着信がある事を意識する必要があります。

知らない人からのメッセージや電話は必ずブロックするようにしましょう。

最低でも、上記を備える事で、「SNSでは、不特定はもちろん、本当に親しくできる友人以外と繋がってしまう可能性をできるだけ減らせる基本設定をしておくメリットを子どもに教える」事ができるようになります。

SNSには、サービス毎に、大切な設定があります。このブログでも紹介していきますが、まずは私たち親が、「なぜ、その設定が重要か?」という事を理解するように意識していきましょう。

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「ネット依存の3つの対策方法」

ネット依存って、どれほど深刻?

厚生労働省が2018年9月に公表した、「中高生のネット依存調査」によると、全国の中高生93万人がネット依存状態との結果です。

前回の5年前の調査から、わずか5年で倍増した事に国も危機感を感じているようです。

深刻な状態ですね‥

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国立病院として日本で初めて「ネット依存治療」を始めた、久里浜医療センターでは、数ヶ月先まで予約で一杯の状況です。

私達が実施している「ネット依存度スクリーニングテスト」も、この久里浜医療センターで採用されているものです。

静岡県内の各中高の平均依存度は、約42%ですが、ある学校では、70%がネット依存になっています。

また、すぐに援助が必要な「病的レベル」は、約18%となり、全国平均を大幅に上回っています。

あなたのお子さんはいかがですか?

ネット依存の「根底」にある子どもの気持ちは?

ネット依存に陥りやすい子どもには心理面でのある特徴があります。それは、「自尊心の欠如」です。

自分で気づいているかどうかに関係なく、ネットに逃避する子どもは、「自分のできる事や存在自体に自信を持ちにくい」傾向があります。

ネット上のトラブルが原因で、すぐに命を絶ってしまう選択をする子どもの増加にも、この要因が表れてしまっているようですね。

確かに自尊心が低いと、現実の交友関係を構築しにくいです。

自分から友達を作るのではなく、友達に「なってもらう」という見方や、逆に、自分を認めさせるため、強い態度に出てしまうという両極端になりがちです。

そのような状態だと、ネット上の「責任のない交友関係」でも気持ちが楽になりませんね。

自尊心が無いので、LINEグループでも、みんなの反応や既読状態が気になって、他の事に集中できません。

その内容やオンラインゲームの対戦結果などで、自分の「存在価値」自体が、良くも悪くも決定すると考えてしまうわけです。

それで、このような「根底」にある事情を考えると、小手先解決だけではなく、「子どもの自尊心を持たせるには?」という考え方を、まずは「親が持つ」事が対応の早道となります。

子どもに「自尊心」を持たせるには?

10代相応の「自尊心」を持つために、親である私たちは何を教えられるでしょうか?良い結果を出しているお母さんたちは、次の点を意識しています。

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「1科目でも、勉強の成績を上げるように励ます」

学生である以上、最大の目的は「学ぶ」事です。

ほとんどの場合、勉強の成績が高い生徒はスマホやSNSを「適切に」使いこなしています。

ネット依存率も低く、ある程度の「自尊心」を持っているので、交友関係にも大きな影響を受けずに、上手に接していく事ができるようです。

それで、1科目でも得意な科目を「増やす」メリットを教えることは役立ちます。

「部活動のスキルアップに注力するように見守る」

これは、部活動の交友関係を深めるという事ではなく、あくまでも、その部活動での「メインとなる技術を向上させる」という事です。(例:体操部なら、体操自体のスキルをアップさせる事)

スキルが低い子どもは、部活動を頑張っていても、「メインでの評価」が低くなるため、結果的に、部活動の「サブ」の側面である部員同士の交友関係に、必要以上の影響を受けるようになっていきます。

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「人間として存在している事自体の『自尊心』を意識させる」

これが一番大切ですね。実際、子どもと良い関係を保っているお母さんは、お世辞や甘やかしではなく、子どもを「適切に認める」事と「率直に助言する」事のメリハリをつけています。

そのような環境で育つ子どもは、「ヒューマンリテラシー(人間力)」が磨かれ、交友関係によって自分の自尊心が左右されない若者として自立していく事ができます。

当然ながら、そうなると、ネット上の関係やゲームに依存したり、SNSで自尊心の低さをアピールしてしまう事は自発的に避けていけます。

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まずは、上記の点だけでも、親がよく意識し、「我が子には、この面でどのように声掛けできるか?」という事を、毎日よく考える事をお勧めします。そのように意識を変革する親の態度に子どもは敏感です。

次回以降では、どのように「子どもを適切に認めて尊重できるか?」を扱っていきますのでご期待ください。

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